脳梗塞後の本人の気持ちと向きあい方

何を考えているの?家族の人はどう接していけばいいの?

ここでは病気になってしまい「○○できない」という後遺症を受け入れるまでの本人の感情の変化と家族の人がどう対応していけばいいのかを訪問マッサージ師の立場から解説しています。病気になってしまい「○○ができない」という後遺症が残ってしまうとただ悲しいだけではありません、様々な感情が入り乱れます。本人の今の気持ちを知ることで、家族の人をはじめ周囲の人たちがどのように接していけばいいのか分かってきます。介護の現場で家族の人が、「どう対応していいのか分からない」「なぜ話を聞いてくれないのか?」「なぜこんな行動をするのか?」などの疑問を解決するためにお役立てください。

 

まずはおおまかに本人の気持ちの流れを追っていきます。

 

認めない
そんなはずはない、いずれ治るんだ

怒り
なぜ動かせないんだ、なぜ治らないんだ、なぜ自分だけ、、、

取り引き
もう体に悪いことはしません、○○するから治してくれ

深い悲しみ
治らない後遺症を認めざるを得なくなり、悲しみにくれる

受け入れ
少しずつ前向きな気持ちが生まれ、周囲のアドバイスやサポートを受け入れ始める

 

時間の経過とともに上から順に気持ちの変化がみられますがこの流れには個人差があり、場合によっては気持ちが行ったり来たりしてこの流れどうりにならないこともあります。

 

 

以下、詳しく解説していきます。

認めない

本人の気持ちや言動は

手足が動かない、うまく話せないなど本人にとって大きなショックな出来事に対して、何事もなかったような振る舞いや、かたくなに認めようとしない様子は自分の心を不安や恐怖から守り、平静に保つために無意識にとる心の防御です。特に医療関係者と会話をすると説得されてしまうのではないかと思い、だまってしまうこともあります。

 

 

家族の人の対応は

このようなとき家族の人は、本人の認めたくない気持ちは心の防御のあらわれなので否定せずに受け止め、本人が落ち着いて冷静になるまで「同調や、話を聞くだけにとどめる」といった辛抱強く待つ姿勢が求められます。また必要以上の病気に対する説明や、強い説得(病気を受け入れることを強いる)は逆効果になることが多くみられます。

怒り

本人の気持ちや言動は

自分の病気が否定できなくなると次に「なんで自分がこんな病気になったんだ」と怒りが表面化してきます。ここで重要なポイントは「自分に怒っている」ことです。自分に怒っているのですが、自分のいらだちを解消するために家族に怒ることもあります。要は八つ当たりなのですが本人は家族を傷つけようとは思ってはいません。しかし、家族の人が本人の怒りに対して非難すると、本人はとても傷ついてしまうのです。そして八つ当たりの相手を求めていた本人はより攻撃的になり、ささいな事でも怒ってきます。こうなると家族の人は本人と接する機会を少なくするようになり、だんだんと孤独になってしまいます。

 

 

家族の人の対応は

本人は「怒り」によって「何を訴えているのか」を理解する必要があり、ここでも「待つ姿勢」が求められます。いままで怒っていた人にいきなり聞いてもすぐに答えはもらえませんので、ゆっくり時間をかけてあせらず「今の望み」を聞きましょう。聞くだけで、望みをかなえなければならないと思うことはありません。また苦しくてつらいときに色々な理屈で説得しようとしてもなかなか受け入れてもらえません。それよりも「苦しいの」「つらいの」と本人と同じ気持ちの言葉をかけるだけで本人は安心できます。望みを聞けると実は、「自分の苦しみを分かってほしい」「これができないからこうしてほしい」と、「ある種の甘え」であることが分かってきます。「怒り」という手段で「甘えたい」と願っているのですが、普通の感覚ではすぐに理解できません。まるで「好きな女の子の気をひこうとしてちょっかいを出す男の子」のようです。家族の人が本人に対する理解を避ければ避けるほど、怒りや攻撃はエスカレートしていきます。怒りや攻撃に対して家族の人の許すという寛大な姿勢が本人に伝わってくると、しだいに本人も自分の状況を冷静に認識して「怒り」が静まってきます。

取り引き

本人の気持ちや言動は

これまでを振り返り、認めない気持ちや怒りが通用しないと分かったら次に「もうしません、これからは○○します」「○○するから病気を治してください。」といった気持になっていきます。考え方が子供のようになってきます。また自分の病気が良くなるなら、過去の誤った生活習慣に原因を求めて、思い当たるフシがあると自分を責めたり、罰したい気持ちが強くなったり、時には自分自身を傷つけようとします。

 

 

家族の人の対応は

自分のつれあいや親ですが、子育ての経験を生かして自分の子供と思って接してください。また、自分自身を傷つけないよう家族の人が見守る必要がでてきます。

深い悲しみ

本人の気持ちや言動は

しだいに動かなくなった手足を受け入れ始め、自分が大きな病気にかかり後遺症をもってしまったと認識していきます。そして、動かせる手足を無くしてしまった、もう取り戻せないという気持ちになっていきます。職業や自由な生活を失い、経済的な負担の増加、家族への負担や迷惑がかかると感じると、誰とも会いたくないと思い始めます。一番落ち込む時期です。

 

 

家族の人の対応は

この時家族の人は、本人に「悲しみを表に出していい」と許してあげてください。病気や後遺症を受け入れ、深い悲しみや絶望している時に励ましは本人には届きません。悲しんでいる本人のそばにいて、同じ時間を過ごすことでしだいに「自分が悲しいときにそばにいてくれる」と安心してもらえるようになってきます。

受け入れ

本人の気持ちや言動は

深い悲しみのなかから安心できる、頼れる存在がみつかると、周囲の人の意見やアドバイスに耳をかたむけるようになってきます。また、通所リハビリ、デイサービスへの参加でほかの人と接すると自分と同じ境遇で頑張っている人がいる、自分だけではないんだ、と新たな励みにもなっていきます。

 

 

家族の人の対応は

この段階にきて家族の人の明るい振る舞いや励ましが本人の支えになります。日常生活やリハビリで最初は思うように上手くできずもどかしく思っているのであせらずじっくり見守る気持ちで本人と接してください。

 

 

 

 

 

 

 

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